都内では2年半ぶりとなったJ・A・シーザーリサイタル「荒野より」、ご来場ありがとうございました。
当日の模様とかはTAKEさんが詳細なレビューを書いてくださってるのでご紹介しておきます。いつも細かい所まで見ていただいていてありがたい限りです。
(5/3)http://take.music.coocan.jp/live2016/20160503.html
(5/4)http://take.music.coocan.jp/live2016/20160504.html
一箇所だけ訂正させていただくと、チューバはチラシの記載通り両日とも大野昌靖さんです。

5/3 セットリスト

客入れBG:ある家族の血の起源
第1部 少女革命ウテナ
SE:薔薇卵蘇生録
1.アストラガルス地球双六
2.天使創造すなわち光
3.何人も語ることなし
4.スピラミラビリス劇場
第2部 ある家族の血の起源
SE:ハテナのビタミン
5.人間果実
6.家族合わせ
7.空っぽの父の椅子
8.財産目録
9.花嫁讃歌
10.らまいまだ
11.世界で一番遠い土地
12.母迷宮
第3部 シーザー名曲集
13.鎌倉外人歩抄
14.越後つついし親不知
15.成吉思汗
16.マザーランド
17.ソドムの杉天牛
第4部 歌姫絶唱 
18.サムタイム・サラジェーン
19.劇場仏葛(テアトロ・ボウ)
20.私窩子
21.ほたる心中
22.子守頭巾
23.人形つかい
第5部 シーザー アラビア想フ名曲集
24.プララ・アプルゥ・モロッコ・イスラエル
25.千一夜の風車(ペルシァ女の純情経)
26.空飛ぶ絨毯~足無き片輪のアラジン~
27.シルクロード - アラビア想う幾何学哀歌
28.眼球の異邦人
第6部 荒野より
29.荒野より
SE:UFO~未確認飛行物体~

シーザーを除く歌唱者のクレジット

ソロボーカル:
榊原ゆい(2,3,4) 
竹林加寿子(6,7,12) 川口詩子(9) 斎木智弥(10) 安保弘介(11) 
森ようこ(18,19) アマンダ・ワデル(18,19) 
蜂谷眞未(20,21) 石川詩織(22,23)

コーラス:
万有引力・蜂谷眞未・石川詩織(1,29) アマンダ・ワデル(1,24,25,29)
竹林加寿子(1,3,5,8,11,13,14,15,16,17,24,27,28,29) 川口詩子(1,3,5,6,7,8,13,14,15,16,17,24,27,28,29) 斎木智弥(1,3,5,7,8,11,29) 安保弘介(1,3,5,7,8,29)
服部愛弓/山本美里(21,22,23) 

台詞・叫び・擬音等:
万有引力(6,7,8,10)
森ようこ(5,12) 高橋優太(7) 今村博(8) アマンダ・ワデル(13,16)

上のリスト書いてて、当日のPAさんの苦労を考えると恐ろしくなった。頭が上がりません、ありがとうございました。

ちょっとした解説

1はシーザーがやりたいと言い続けていた、劇場版ウテナのために作られたイメージアルバム「薔薇卵蘇生録ソフィア」の中の1曲。今回リサイタルのための譜面整理をしていた時に当時のデッサン譜が出てきて、「海洋ロック!」「火山の爆発音!」等といったメモが書いてありました。確か曲名も微妙に違ったような?中間部の変拍子がまー大変で、みんなの頭がわたしソフィア状態に。
2,3,4はMCにもあった通り榊原さんに歌いたい曲を選曲してもらいました。3の「光って消えろホタル星」の2拍3連やって欲しいとのリクエストに、「この方、ガチだ!」と感動。アレンジは光宗版をベーシックにしつつ、構成はシーザー版に。
5~12は93年初演の不思議オペレッタ◎ある家族の血の起源からの抜粋。元々はプロの歌手ではない役者のためのオペレッタを、ということで、73年の桟敷初演版を遥かに超える歌曲が新規に作られた。オーケストラチックにやりたいとのシーザーの希望で、メインの歌唱は全てオペラチームに、万有チームは台詞や擬音に回った。アレンジもバイオリン・フルート・チューバ・ピアノをなるべくフューチャーしてロック色は多少薄目に。個人的には大劇場で完全版をやりたい。
13,曲の内容はシーザーのGFだったドイツ人女性が大学ノートに書いた鎌倉旅行日記がモチーフになっていて、曲の冒頭や中間部で入っていたナレーションはその日記からのもの。当時の録音が見つからなかったため前回はライブテープから耳コピで台詞を起こしてもらっていたのだけど、今回なんとそのノートがウン十年ぶりに出てきたのでようやく完全版でやれた。
16、活動再開後では初披露の、フラワーチルドレン感溢れる1曲。構成を一部入れ替えたほか、シーザーが曲のイントロや中間部を新たに作曲。
5/3のゲストパートはいずれもシーザーの選曲。18はザムザ以来の演奏で、今回は本来のアレンジに近い形。19は生演奏でやるのは確か初めて。アレンジは前半は室内楽っぽく、後半で壮大にという要望だった。今回の編成に合わせてパート譜を作り直し。
5/11一般発売予定の「寺山修司劇中歌少女詩集」についてはまた改めて紹介するとして、20は天井桟敷の「中国の不思議な役人(1977)」の劇中歌。基本は蘭さんのアルバム「惜春鳥(1993)」を下敷きにしつつ、ロック色の強いアレンジに。少女詩集の制作中にオリジナルの入った青少年のためのJ・A・シーザー入門・探究篇が出て、また一味違う重厚なアレンジに驚いた。
21は「空気女の唄」で知られる荒井沙知さんのために作られた1曲で、当時(1975年くらい?)のライブで数回披露されたのみとのこと(しかもオケに被せる形で、生演奏ではないらしい。シーザーの記憶違いの可能性あり)。この曲についてもまた改めて紹介するとして、今回ようやくやれて本当によかった。
22は盲人書簡・人形篇(たぶん)の中の1曲。現在、他の団体も含めて盲人書簡と名のついた再演はほぼ間違いなく上海篇なのは戯曲が出版されていないからっぽい。万有俳優陣の危ういコーラスが不思議な浮遊感を醸し出していたと思う。
23も恐らく盲人書簡・人形篇が初出。桟敷版・蘭さんのコンサート版・万有版と様々なアレンジが存在するけど、単純な3拍子だといつものジンタになってしまって他の曲と被るのでリズムの組み立てに一工夫、個人的にはフラメンコを参考にしつつ全体の構成は過去のアレンジのいいとこ取りみたいな感じでやってみた。 
上記4曲は蜂谷眞未・石川詩織両女史のキャラクターによって劇中歌の枠を超え、また一つ世界が広がったと思う。 
24も活動再開後でやるのは初。この曲が一音下げになったためテレキャスではイントロが弾けないので、ドロップD専用としてシーザーが天井桟敷当時に愛用していたレスポールの登場となった。 
この写真は「走れメロス(1973・ミュンヘンオリンピック)」時のもので、その後上記のPUカバーの取り外しのほか、ロゴを隠すためにヘッドに仏像のような装飾が取り付けられた。数年前に発掘されたのでレストアして、奴婢訓(2012)のリメイクや怪人フー・マンチュー(2012)で使用。その後はテレキャスの登場もあったため再び倉庫に寝かされることになったが、今回久々の復活。
25,26は今回の目玉。1977年渋谷西武百貨店で開催された「寺山修司の千一夜アラビアンナイト展」のミニコンサートのために作られた曲で未CD化。ちなみに15・27もこの時が初出となる。本番ではスペースの都合等もあり、あらかじめ録音されたオケに被せる形でシーザー&森岳史の演奏があった。森さんは特に26がお気に入りで、わざわざCD焼いて持ってきてくれるくらいやりたがっていたのだけれど存命中には叶わなかったのが悔やまれる。歌詞は今回両曲ともかなり書き換えられているが、ド直球な初期の歌詞も個人的には忘れがたい。
28は万有引力「アウト・オブ・マン」の1曲。オリジナルの変調をかけたようなボーカルはボコーダーによるものらしい。アラビア繋がりで持ってきたものだったが、シーザーがこの曲を歌うとは思ってなかったので意外な選曲だった。
29、これまでにもMCで何度か話されたことがあるように寺山さんとシーザーの間で「桟敷の大合唱曲群を、年末の第九のようにオーケストラでやろう」という話があったらしい。曲の候補は「山に上りて告げよ」「オルフェ・ヒロシマ」「大鳥の来る日」「和讃」、そして最後に残っていたのがこの「荒野より」になる。この曲、個人的にも思い入れがありすぎて弾いてる最中に感極まりそうになった。後奏ではかつて万有版でシーザーがアドリブで弾いた旋律を換骨奪胎して大ユニゾンにしてみた。本人としては何の気なしに弾いたフレーズだろうけど聴き続けていた身としてはもうあれが完全に曲の一部になってしまっている。

ちょっとした解説といいながらクソ長くなってしまったので5/4のセトリ他はまた改めて。

おまけ

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千秋楽後にシーザーにご褒美で貰ったアンコール曲の歌詞コピー。この曲も結構書き換えられていることがわかる。